中谷財団について理事長挨拶
科学技術の進歩や環境の変化に応じた事業展開
この度、理事長に就任いたしました矢冨でございます。2020年に輕部前理事長が急逝されましたあと、家次代表理事が理事長を代行してこられましたが、この度、財団設立40周年を機にバトンを受け継いだ次第です。
私ども中谷財団は、「東亞医用電子株式会社(現シスメックス株式会社)」の創業者であり、初代理事長でもある故・中谷太郎の「未来社会において日本が強い産業基盤を確立し、大きく発展するためには電子計測技術の開発が不可欠であり、この発展に“貢献”していくことが使命である」という強い想いから、1984年4月に「財団法人 中谷電子計測技術振興財団」として設立されました。
2012年4月には、国の公益財団法人制度改革に伴い、「公益財団法人 中谷医工計測技術振興財団」と名称を変更し、時期を同じくして設立者の子息である故・中谷正理事から大きな遺贈を受けたことで、日本有数の助成規模を誇る財団へと発展しました。
そして昨年、2024年に財団設立40周年を迎え、助成対象を「医工計測技術分野」から、今後、日本が世界をリードしていく分野として注目される「BME (Bio Medical Engineering)分野 ~生命科学と理工学の融合境界領域~」へと拡大しました。それに伴い、名称を「公益財団法人 中谷財団」に変更いたしました。
当財団は「助成事業」と「表彰事業」の2つの事業を核として活動しています。表彰事業では、医工計測技術において優れた業績を上げた研究者を表彰する「中谷賞」を設け、今年で第17回を迎えました。また、財団設立40周年を機に新たな学術賞「神戸賞」を創設し、BME分野でイノベーションをもたらす独創的な研究で優れた実績を上げた研究者を表彰することにいたしました。なかでも若い世代が持てるポテンシャルを十分に発揮できる環境をつくることが重要だと考え、神戸賞には大賞のほかに若手研究者に光を当てる「Young Investigator賞(Y.I.賞)」を設けました。
また、助成事業は財団設立当初は研究者に対する助成を行っていましたが、財団の規模の拡大とともに、その対象範囲を拡大し、特に若い世代の育成に注力をしています。若手研究者を対象とした海外との「交流助成」や理系大学院生への「奨学金給付」、大学生を対象とした「国際学生交流」、さらには科学の裾野拡大を図るため、小・中・高校生を対象とした「科学教育振興助成」など対象を広げて参りました。現在は、幅広い年齢層を助成対象とするユニークな財団へと変貌いたしました。
2025年には、万国博覧会が55年ぶりに大阪で開催されますが、科学技術の世界は日進月歩で発展を続けており、新しい発見がまた次の新しい発見を生み、10年前には想像もできなかったような形で展開しています。激変する時代の変化に伴う社会の要請を的確に捉え、タイムリーかつスピーディに、そしてより幅広いニーズに対応した支援を実行することは、公益財団法人としての役割であり、また民間の財団法人だからこそできることでもあります。
次の50周年に向けて、そして100年後の未来へと歩みを進めるなかで、当財団は「未来を創造する力」へ支援することで社会と人の発展に尽くし、輝かしい未来への架け橋となれるよう研鑚を重ねて参ります。また、近年における、我が国の大きな課題とされている研究力の向上に、機動性高く貢献していく所存です。
私も微力ながらお役に立ちたいと考えております。
これからも中谷財団に対して、ご指導、ご鞭撻を賜りますようお願いいたします。
-
-
公益財団法人 中谷財団
理事長 -