核医学診断のイノベーション拠点となる「未来PET 創造 研究ユニット(仮称)」を設置
利用可能なすべての放射線を画像診断に役立てる「全ガンマ線イメージング(WGI)」への変革
11:00 - 12:00
コンファレンス スクエア(千代田区)
※オンライン開催も実施します。
医工計測技術分野における技術開発や技術交流等の促進と人材の育成を目的に幅広い助成事業を展開している公益財団法人中谷医工計測技術振興財団(東京都品川区/代表理事:家次恒、以下「中谷財団」)は、その助成事業の一つとして、新たな技術・学術、応用分野を開くための基盤を生み出すと共に、グローバルに活躍する若手研究者の育成を目的に、「長期大型研究助成(5年間で最大3億円)」を実施しています。
その第4回目として、国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(以下、QST)を採択し、核医学診断のイノベーション拠点となる「未来PET創造研究ユニット(仮称)」を設立することになりました。放射線の人体への影響や医学利用などの分野で世界有数の研究機関であるQSTは、世界初のヘルメット型PET(*1)装置の実用化に成功するなど世界最先端の技術開発に携わっています。
本研究部門は、日本初のPET開発をルーツとしたラボが中心となり東北大学、千葉大学や国内外の研究機関と構成。独自コンセプトであるWhole Gamma Imaging(WGI)へのパラダイムシフトにより核医学診断のイノベーションの促進および実用化を目指します。
この取り組みにより、低コストかつ低被ばく量でこれまで見えなかった臓器連環や新しいバイオマーカーの可視化など革新的な医療技術の創出が期待されます。また拠点設立によって医用イメージング工学を専門とする山谷泰賀上席研究員が中心となり、国内外の他大学や研究機関と連携し、実用化に向けた成功体験を若手研究者と共有し日本国内の核医学診断のイノベーション拠点を目指します。
今回の研究ポイント
- 世界有数の核医学研究環境と独自の開発技術を実装したPET装置を実用化した経験をもつQSTがハブ拠点となり、国内外の医工学分野、核医学分野、腫瘍学分野をリードする大学等と連携。
- 「未来PET創造研究ユニット(仮称)」では利用可能なすべての放射線を画像診断に活用する「全ガンマ線イメージング(WGI)」の技術開発と実用化に取り組む。
- これまでの核医学診断において放射線の検出効率は高々数%であったが、WGIの実用化により10倍の感度向上を目指し、核医学診断を刷新する。
用語解説
(*1)PET(陽電子放射断層撮影)Positron Emission Tomographyの略。頭文字をとり、PET検査ともいう。
サイクロトロン加速器などにより作成された、陽電子(電子の反物質)を放出する放射性同位体を含む薬剤を用いて、体内における薬剤の集積分布を撮影する画像診断法。陽電子は電子と結びつくことで消滅し、その際に511キロ電子ボルト(エネルギーの単位)のガンマ線が反対方向に2本放出される。この2本のガンマ線を、人体の周囲に配置したガンマ線検出器で測定したデータをもとに、断層画像が得られる。
令和3年度 第4回「長期大型研究助成」贈呈及び共同記者会見概要
日時 | 2022年2月16日(水)11:00~12:00 |
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場所 | 日比谷国際ビルコンファレンススクエア(千代田区) (東京都千代田区内幸町2丁目23日比谷国際ビル8階) ※オンライン開催も実施します。 |
登壇者 |
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当日の進行(予定) |
11:00~12:00 – 中谷財団 家次代表理事 挨拶 – QST 平野理事長 挨拶 – 目録贈呈及び写真撮影 – 採択者挨拶および研究内容紹介 – 質疑応答 -終了- |
※オンライン参加のお返事を頂いた方にはオンラインセミナーの参加用リンクをお送りいたします。
※新型コロナウイルス感染拡大の状況により、イベントの開催方式を変更する可能性がございます。
令和3年度 第4回「長期大型研究助成」受賞者紹介
長期大型研究助成
最大合計3億円
氏名 | 山谷 泰賀(やまや たいが) |
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申請時の 所属機関・職名 |
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部 上席研究員 |
研究部門/ 研究題目 |
研究部門「未来PET創造研究ユニット」(仮称) 研究題目「利用可能なすべての放射線を画像診断に役立てる『全ガンマ線イメージング』への変革 |
助成金額 | 6000万円/年(5年間で総額3億円) |
山谷泰賀 プロフィール
山谷泰賀(やまや たいが・国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 上席研究員)
2000年に東京工業大学博士課程を修了して博士(工学)を取得。同助手などを経て、2004年より放射線医学総合研究所研究員、2009年より同イメージング物理研究グループのラボヘッドとして現在に至る。
千葉大学フロンティア医工学センター客員教授、横浜市大医学研究科客員教授を兼務。
専門は医用イメージング工学。特に革新的なPETイメージング機器開発の研究に従事し、1月には世界初のヘルメット型PET装置を製品化してプレスリリースを行った。
2012年ドイツイノベーションアワード最優秀賞、2017年文部科学大臣表彰、厚生労働大臣賞、2021年IEEE Medical Imaging Technical Achievement Awardなど受賞多数。
「国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構」概要
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(QST)は、放射線医学総合研究所と日本原子力研究開発機構の量子ビーム部門および核融合部門が再編統合され、平成28年(2016年)に新たに発足した国立研究開発法人です。
全国の7研究所、1センター及びQST病院の英知と力を結集して「世界トップクラスの量子科学技術研究開発プラットフォーム」を構築すべく、量子医科学、放射線医学、量子生命、量子ビームや核融合分野の研究開発を行っています。具体的には、重粒子線などによるがんの治療、放射線の人体への影響や医学利用、量子論や量子技術に基づく生命現象の解明と医学への展開を目指す量子生命科学、量子ビームによる物質・材料科学などを研究しています。そこから得られた成果を広く社会に還元するため産学官連携活動を積極的に推進し、また量子科学技術による世界中の人々との協同を介して新たな知の創造や異文化理解・尊重を育み、「調和ある多様性の創造」を推進しています。このような活動により、平和で心豊かな人類社会の発展に貢献していきます。
名称 | 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 |
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英名 | National Institutes for Quantum Science and Technology |
設立 | 平成28年(2016年)4月 |
所在地 | 〒263-8555 千葉県千葉市稲毛区穴川 4-9-1 |
目的 | 量子科学技術に関する基礎研究及び量子に関する基盤的研究開発並びに放射線の人体への影響、放射線による人体の障害の予防、診断及び治療並びに放射線の医学的利用に関する研究開発等の業務を総合的に行うことにより、量子科学技術及び放射線に係る医学に関する科学技術の水準の向上を図ることを目的とする。 |
部門 |
①量子生命・医学部門:量子医科学研究所、放射線医学研究所、QST病院、量子生命科学研究所 ②量子ビーム科学部門:高崎量子応用研究所、関西光科学研究所、次世代放射光施設整備開発センター ③量子エネルギー部門:那珂研究所、六ヶ所研究所 |
URL | https://www.qst.go.jp/ |