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2024年03月03日 アドバンスト

米国・ジョージア工科大学滞在記

名古屋大学 理学部 生命理学科 新3年の石川雅子と申します。

米国ジョージア工科大学 Dr. Shuichi Takayama研究室(以下Shu labで)にて、2月から10週間ほど研究留学をさせていただいております。渡米してからまもなく1か月経過するので、研究生活や普段の生活などを報告させていただきます。

 

<研究内容・研究生活>

研究室への通学路

私はこの夏RIESプログラムに参加させていただき、Dr. Stanislav Emelianov研究室にて2種類ナノ粒子を用いて幹細胞を二重標識し、光音響イメージングでイメージングするプロジェクトに携わらせていただきました。(2023年度夏RIESプログラムの最終報告にて詳しく書かせていただいております。)

 

今回のAdvanced Program(以下ARIP)では、夏に所属させていただいたラボとShu labで共同研究をさせていただいております。

 

Shu labはバイオマテリアル、特にオルガノイドの研究を行っているラボです。私は様々な種類のオルガノイドの中でも、乳腺上皮細胞のinvertedオルガノイドを用いて、がん細胞の浸潤に関するプロジェクトをさせていただいております。

 

Shu labで作成したオルガノイドに、Stanislav labで精製したナノ粒子で標識されたがん細胞を浸潤させ、その様子を光音響イメージングを用いて観察することが目標です。もし十分な解像度でイメージングすることができれば、従来用いられてきたコンフォーカル顕微鏡などを使うよりもより早く、簡単な方法が提案できたことになります。

 

Shu labではオルガノイドの作製、メンテナンスを、Stanisla labではナノ粒子の精製とイメージングを主に行わせていただきます。

メンターのDr. Soojung Leeと

共同研究をさせていただいているため、普段は2つのラボを行き来させていただいております。

午前中からお昼すぎまではShu labで、お昼すぎからはStanislav labにて作業をさせていただいております。

 

Shu labでは週に1度全体でミーティングがあり、普段あまり聞かない他のPhD学生の研究テーマについて知る良い機会です。違う細胞のオルガノイドや新しいデバイスの話を聞くのは面白く、すべて理解するのは難しいですがワクワクしながら聞かせていただいております。

<日常生活、休日の過ごし方>

宿泊先は、ラボから徒歩20分くらいのAtlantic Stationというところにある学生アパートです。ルームメイトが一人いて、ベッドルームとバスルームは個人で、リビングルームはシェアしています。(どうやらアメリカにはこのスタイルのアパートが多いようです。)近くにはIKEAやスーパーがあり、アパートには勉強部屋やコピー機、プールやジムがあり、非常に気に入っています。

 

昼はお弁当を作って持っていき、(お弁当と呼べるようなクオリティーではないですが)夜はラボのメンバーや友人と外食をすることが多いです。夏にいたころにできた友人やラボメンバー、2023年夏に日本に来てくれたUS fellowsGeorgia Tech, Emory UniversityPhDをされている中谷Aluminiの先輩方など、ありがたいことに沢山の方にアトランタでの生活を支えていだだけて、研究以外でも非常に楽しい生活をおくっています。

 

休日はラボにいる日も出かける日もあります。出かける日は、1週間分の食材を買いに行ったり、少し遠いところにあるレストランに行ったり、アトランタを観光したりしています。また2月中旬に中谷医工計測技術振興財団の小川さんにニューヨークに連れて行っていただき、中谷Aluminiで現在ロックフェラー大学でPhDをされている千葉悠希奈先輩(名古屋大学の先輩でもあります。)のラボを見せていただいたり、ブロードウェイのミュージカルを見たりしました。他にも高山先生のご自宅でのLab gatheringなど、非常に充実した日々を送らせていただいております。

  • 高山先生のご自宅でのLab gathering 高山先生のご自宅でのLab gathering
  • ロックフェラー大学にて、AluminiのYukinaさんと ロックフェラー大学にて、AluminiのYukinaさんと
  • ニューヨーク、タイムズスクエアにて ニューヨーク、タイムズスクエアにて
  • ある日の夕食、Shu labのLeehan, Danielと ある日の夕食、Shu labのLeehan, Danielと

<これまでの生活で気が付いたこと>

ARIPが始まって1か月たちますが、夏のころとは異なり日々痛感しているのは責任の違いです。

RIESではメンターのAnamik Jhunjhunwalaさんがマンツーマンでついてくださり、彼のプロジェクトを手伝わせていただきました。しかしARIPでは私個人のプロジェクトがあり、自分でスケジュールを組んで練習や実験を進めています。オルガノイド作成では培養液交換やイメージングを行う時期が決まっており、オルガノイドを作成する時点で先のことを考えてスケジュールを立てる必要があります。研究をするにあたって、自分のスケジュールに合わせていつ・何を行うべきなのか責任をもって考えることの大切さを学びました。

 

自分でプロジェクトを完璧にやり遂げることは今の私には難しいですが、わからないことはわからないとしっかり聞き、どこまで理解しているのか相手に伝えるという、未熟な私なりの自分のプロジェクトへの「責任」の取り方を身に着け日々それと向き合っています。思っていることを相手に伝え、コミュニケーションをとることの大切さや難しさを痛感しています。

 

<今後について>

滞在中は短い期間なので全力で研究に打ち込み、日々を充実させたいと思っています。ただ、夏のRIESが初めての研究経験だったこともあり基礎的な知識が足りないので、座って勉強する時間もしっかりと確保できるようにしたいです。オルガノイド作成操作を一通り自分でできるようになったので、いよいよこれから実験を行っていきます。イメージングなど自分ではできないことも多くあるため、2つのラボとしっかりコミュニケーションをとり、教えていただけることを最大限吸収したいです。

 

先日、Emory大学で細胞骨格の研究をされているDr.Shoichiro Ono研究室を訪問し、研究内容を教えていただき、進路について相談させていただきました。研究室での研究に打ち込むのはもちろんですが機会があればいろいろな人にお話を聞かせていただいて、ここでしか得られないような知見を広げたいです。

アトランタでの生活は非常に充実しており、もう到着してから1か月たちましたがつい1週間前に来たような感覚です。限りある時間を有意義なものにし、研究者としても人としても成長して帰りたいです。

 

<最後に>

ホストラボの高山先生, メンターのDr. Soojung Lee, 共同研究先のDr. Stanislav Emelianov, メンターAnamik,JhunJhunwala, 今回の研究留学を可能にしてくださった小川研之様をはじめとする中谷医工計測技術振興財団の皆様、学部生なのにも関わらず毎日ラボに来て私をトレーニングしてくださったLeehan Kimや未熟な私に沢山のことを教えてくれた2つのラボのメンバーの皆さん、今回の渡航をサポートしてくださったジャパンスタディーツアーの林敬一様、いつも支えてくれる家族や友人に心から感謝を申し上げます。滞在に関わってくださった皆様への感謝の気持ちを忘れずに、沢山楽しみ、学び、パワーアップして日本帰れるように残りの期間も精一杯頑張ります。

 

名古屋大学 生命理学科 石川雅子