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2022年02月20日 アドバンスト

マサチューセッツ州ハーバード大学滞在記

ハーバード大学物理学科のKim先生の研究室でリサーチ・インターンシップをおこなっている南出光悦です。

1月末にボストンに到着してから、基本的な研究のノウハウをメンターたちから教えてもらったり観光をしたりして、ようやく現地の生活に馴染んで軌道にのってきたと感じています。

 

ボストン・ケンブリッジエリアは夜に一人で外出できるほど治安がよく、レンガ造りの建物の赤色が映える綺麗な街並みはどこを見ても絵になります。特に、雪の降る日や夜にはその美しさがきわ立ちます。また休日にはハーバーウォークとよばれる海沿いの歩道や、アメリカ合衆国の建国に深く関わったボストンの歴史を追体験できるフリーダムトレイルという全長4キロほどの散歩コースを歩いたり、世界的に有名なボストン美術館を訪れたりすることができます。ハーバード大学・空港を含め、これらの場所はすべて地下鉄で短時間かつ簡単にアクセスできます。

気温は日によっては最高気温で10˚C程度になる一方で、寒い日は最高気温でも−5˚Cを下回り、東京に比べて1日ごとの寒暖差が激しい印象を受けます。

建物の中は半袖で過ごす人もいるほど暖かく、インナーを何枚も着るような厚着をするわけにはいきません。そのため、極寒の日には通学路を全力で早歩きすることで寒さに耐えています。

ハーバード大学はCOVID-19に対して強力な対策を講じており、毎日キャンパスに来る学生に対しては週1回以上の検査、建物内においてのマスク着用、そして学生や職員を含むすべての関係者に対して3回のワクチン接種の証明を義務づけています。特に昨年の冬からオミクロン株の流行にともない感染者が急増したこともあり、1月は授業を含む多くの活動をオンラインに移行し、2月中旬になってようやくキャンパス内での会食が解禁されたようです。

 

Kim先生の研究室では、おもに「低次元材料」に関する研究をおこなっています。そのうち現在わたしが参加している研究は、ハーバード大学化学科の研究室や日本の2つの研究室が共同でおこなっている規模の大きなものに携わらせていただいています。そのため、わたしのメンターには物理学科の2人と化学科の1人がついてくれており、彼ら3人と一緒にプロジェクトを進めているところです。

化学科が入っている建物は、物理学科が入っている建物と道路を挟んで面しているため簡単に行き来ができ、化学を専攻しているわたしにとって、化学と物理学の協奏的な研究への参加は光栄なことであり、毎日その面白さを実感しています。研究室自体はフロアをまるごと使っているほど大きく、メンバーの人数も比較的多いほうなのだと思います。

 

研究室とガラス張りで面しているキッチンにはスナックやコーヒーが常備されており、小腹を満たしにやって来るタイミングが重なり2人以上が集まると、必ず研究の話が始まって30分程度の立ち話が続きます。

 

ランチは5人程度がなんとなく集まり、研究の話をおかずにしながら食事をします。また、少人数で集まって研究内容の軽い報告・議論を行うサブグループミーティングが週に3回ほど、自分が興味をもった論文について発表・考察するジャーナルクラブが週に1回、同じく週に1回だけ1人が自身の研究内容を1時間半かけてたっぷりと解説するミーティングもあります。とにかく研究について話す時間が多いのです。

ランチが雑談タイムだと思っていたはじめの頃はかなり戸惑いましたが、徐々に慣れるにつれて、物理学の難しくも面白い話をつねに聞ける環境に居心地のよさを感じるようになっています。

ジャーナルクラブは物理学科全体で開かれるためほかの研究室からの参加者も多くおり、飲み物やスナックが提供されるなかで気軽にさまざまな学生たちと話ができます。また、研究室の仲間に誘われて毎週バレーボールに参加しており、そこで出会う生物学や宇宙学などの研究室の学生やメディカルスクールの学生たちとも交流をしています。このような研究室外でのつながりに対する意識は、この留学に限らず大切にしていきたいと思います。

 

研究の話は非常にレベルが高く、正直聞いて理解するだけで精一杯なほどです。

もっと議論に深く参加できるように、雑談のときだけよく喋るような人にならないように、引き続き研鑽を積んでいく所存です。