公益財団法人 中谷医工計測技術振興財団 公益財団法人 中谷医工計測技術振興財団

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2022年10月07日 アドバンスト

カリフォルニア州UCDavis滞在記

University of California, Davis、Biomedical EngineeringのYamada. Labで研究をしています、京都大学理学部4年生 蚊谷光です。

 

留学期間も折り返したこのタイミングで、大学での研究や普段の生活について、中間報告として記しておこうと思います。

 

大学のあるデイビスの街は、大学を中心としたカレッジタウンで、非常に治安がいい場所です。気候は概して非常によく、到着してからというもの、殆ど毎日、雲一つ無い快晴です。大抵は、非常に過ごしやすい気温でしたが、偶然にも、今回の滞在では、最初の数週間に記録的な熱波が襲いかかり、昼間には、40度越えの日々が続きました。近くの山で山火事が発生し、山火事で発生する灰を吸い込まないためのマスクを先生にもらったほどです。

 

キャンパスには総合大学を象徴するような多くの学部棟が立ち並び、その他にも、牧場(写真1)や公園、スタジアム、学部一年生向けの学生寮などがあり、非常に広大な敷地のキャンパスです。

  • 写真 1 キャンパス内にある牧場 写真 1 キャンパス内にある牧場
  • 写真2 研究室のある建物 写真2 研究室のある建物

平日は、毎朝9時ごろから、夕方5時ごろまで研究をしています。毎朝、滞在先から20分ほど自転車で通学しています。大学生の多くも、自転車で通学しているため、登校中には自転車で通っている学生を多く目にします。

 

研究室では、細胞を引っ張った際にどのようなタンパク質が動態を変化させるのかをテーマに研究を行なっています。細胞を小さなデバイスの上などで引っ張り、その際の細胞内のタンパク質を抽出・解析することにより、引っ張り刺激依存的に働くタンパク質の同定に挑戦しています。

 

基本的には、Western blottingや免疫染色といった、基本的な生化学実験を使いますが、細胞に張力を加える実験には、研究室独自の工夫が凝らされており非常に興味深いです。特に、先端が非常に細いマイクロニードル(写真3)を用いて細胞を引っ張り、その際のタンパク質動態をイメージングする実験は非常に難しい一方、リアルで興味深いものでした。(写真4)

  • 写真3 マイクロニードル 写真3 マイクロニードル
  • 写真4 細胞をマイクロニードルで矢印方向へ引っ張った際の様子―蛍光があるタンパク質の位置を表し、引っ張った方向とおおよそ平行になっていることが観察される 写真4 細胞をマイクロニードルで矢印方向へ引っ張った際の様子―蛍光があるタンパク質の位置を表し、引っ張った方向とおおよそ平行になっていることが観察される

週末は、研究室の友人や現地の学生と一緒に、ホームパーティーをしたり、近くのサクラメント(写真5)やサンフランシスコ(写真6)といった街で観光をしたりしています。基本的には車でないといけないところが殆どのため、友人の車に乗せてもらうことが多いですが、時には電車やバスを乗り継いで行くこともあります。

  • 写真5 サクラメントにて 写真5 サクラメントにて
  • 写真6 サンフランシスコにて 写真6 サンフランシスコにて
Yamada先生と

約1ヶ月前に生活を始めてから、最初の二週間程は、周りの生活に慣れ、現地のコミュニティへと馴染むのに少し時間がかかった印象があります。これが、前回のRIESでの渡航に比べ、一人で滞在し、生活を作るということの醍醐味なのかもしれません。

 

対照的に、帰国まであと数週間に迫った今では、この街自体に、そして、ここで出会った人たちに、少し寂しさをも感じるようになりました。ここで出会えた多くの繋がりを大事にしながら、残すところの数週間、更に多くの現地の学部生・大学院との交流や、また興味のある先生の研究室訪問を通じて、最後までこの時間を有意義に過ごすことができればと考えています。

 

 

京都大学理学部4年生 蚊谷光