ニュース
2024年02月19日第16回 中谷賞が決定しました
医工計測技術について優れた業績を挙げ、活発な研究活動を行っている研究者を賞する第16回 中谷賞 受賞者 決定
中谷賞 大賞:岡田康志(おかだやすし)
国立研究開発法人 理化学研究所 生命機能科学研究センター 細胞極性統御研究チーム チームリーダー 研究題目:「一分子・超解像蛍光顕微鏡法の開発と細胞生物学研究への応用」 |
中谷賞 奨励賞:今井猛(いまいたけし)
九州大学大学院医学研究院 教授 研究題目:「組織透明化技術と多色蛍光イメージングを用いた神経回路解析」 |
中谷賞 奨励賞:渡邉力也(わたなべりきや)
国立研究開発法人 理化学研究所 主任研究員 研究題目:「非増幅迅速遺伝子検査法の開発」 |
医工計測技術分野における技術開発や技術交流等の促進と人材の育成を目的に幅広い助成事業を展開している公益財団法人 中谷医工計測技振興財団(東京都品川区/代表理事:家次恒、以下「中谷財団」)は、医工計測技術分野における技術開発の飛躍的な発展を期し、中谷賞(大賞・奨励賞)を設けて、優れた業績をあげている研究者または独創的な研究をしている研究者を表彰しています。この度、第16回中谷賞大賞および奨励賞の受賞者が決定いたしましたのでお知らせいたします。
第16回中谷賞大賞は、理化学研究所 生命機能科学研究センター 細胞極性統御研究チーム チームリーダー 岡田康志(おかだやすし)氏が受賞いたしました。
岡田氏は、独自の手法で世界最高速の超解像蛍光顕微鏡を実現し、これまで見ることができなかったウイルスや細胞内小器官など、微細構造の動態を生細胞中で観察することを可能としました。本手法は国内外主要メーカーから販売され、世界中で広く使用されています。さらに、新規超耐光性蛍光色素や蛍光タンパク質の開発など、超解像蛍光顕微鏡の医学生物学応用を進め、細胞状態の一細胞解析への応用という新分野も開拓しています。
岡田氏は、独自の手法で世界最高速の超解像蛍光顕微鏡を実現し、これまで見ることができなかったウイルスや細胞内小器官など、微細構造の動態を生細胞中で観察することを可能としました。本手法は国内外主要メーカーから販売され、世界中で広く使用されています。さらに、新規超耐光性蛍光色素や蛍光タンパク質の開発など、超解像蛍光顕微鏡の医学生物学応用を進め、細胞状態の一細胞解析への応用という新分野も開拓しています。
奨励賞には、九州大学大学院医学研究院 教授 今井猛(いまいたけし)氏と理化学研究所 主任研究員 渡邉力也(わたなべりきや)氏のお二方が受賞いたしました。
今井氏は、固定した脳などの生体組織を、形態を保ったまま透明化する手法を開発し、3次元的な蛍光観察を実現。超解像顕微鏡に適した透明化法の開発や、透明化標本に最適化した多色蛍光標識の確立を進め、光学顕微鏡を用いて神経回路の3次元的な接続様式を明らかにするための技術的な礎を築きました。
渡邉氏は、昨今の社会問題を鑑み、基礎研究を通じて開発した独自技術の社会応用に取り組み、特に、1分子定量法を基盤としたリキッドバイオプシーの開発において世界を先導し、新型コロナウイルスの世界最速・非増幅遺伝子検査法などの導出に成功。本成果は医療分野等での実用化が期待されています。
今井氏は、固定した脳などの生体組織を、形態を保ったまま透明化する手法を開発し、3次元的な蛍光観察を実現。超解像顕微鏡に適した透明化法の開発や、透明化標本に最適化した多色蛍光標識の確立を進め、光学顕微鏡を用いて神経回路の3次元的な接続様式を明らかにするための技術的な礎を築きました。
渡邉氏は、昨今の社会問題を鑑み、基礎研究を通じて開発した独自技術の社会応用に取り組み、特に、1分子定量法を基盤としたリキッドバイオプシーの開発において世界を先導し、新型コロナウイルスの世界最速・非増幅遺伝子検査法などの導出に成功。本成果は医療分野等での実用化が期待されています。
なお、授賞式は 2月22日(木)にマンダリンオリエンタルホテル東京で実施いたします。各種助成者への贈呈式は2月23日(祝・金)赤坂シティカンファレンスにて執り行います。
各種助成者一覧はこちら
【 技術開発研究助成 】
(1)長期大型研究助成:複数年(5年)
氏 名 | 所 属 機 関 職 | 研 究 題 目 |
洲﨑 悦生 | 順天堂大学大学院
医学研究科 主任教授 |
生体の空間コンテキスト情報を網羅解析する新規オミクス技術の開発と医工学応用 |
(2)特別研究助成:複数年(2年)
氏 名 | 所 属 機 関 職 | 研 究 題 目 |
山下 潤 | 東京大学 特任教授 | ヒト多能性幹細胞由来3D心臓組織による不整脈突然死再現モデル |
南後 恵理子 | 東北大学 教授 | X線自由電子レーザーによる創薬ターゲットタンパク質のダイナミクス解析 |
(3)開発研究助成
氏 名 | 所 属 機 関 職 | 研 究 題 目 |
市川 壮彦 | 金沢大学 特任助教 | 原子間力顕微鏡を用いた生細胞内焦点接着斑の高分解能観察方法開発 |
近藤 英作 | 関西医科大学 教授 | 次世代創薬モダリティPDCによる膵がん標的治療技術の開発 |
後藤 信哉 | 東海大学 教授 | 血流下にてVWFに接着する個別血小板の動態の定量評価を可能とするBME研究 |
大塚 洋一 | 大阪大学 准教授 | 疾患組織の化学的変容を捉える1細胞質量分析イメージング技術の開発 |
吉川 洋史 | 大阪大学 教授 | 細胞骨格の構造機能相関の解明に向けた革新的光操作・光計測プラットフォームの開発 |
道信 剛志 | 東京工業大学 教授 | 近赤外発光共役高分子ナノ粒子を用いたバイオイメージングおよび光熱癌治療技術の開発 |
難波 大輔 | 鳥取大学 教授 | 数理情報科学と先端計測技術を融合した培養ヒト幹細胞由来製品品質管理法の開発 |
梶本 真司 | 東北大学 准教授 | インジェクションーラマン/ブリルアン顕微鏡による細胞内タンパク質相挙動の定量解析 |
宮本 泰豪 | 大阪国際がんセンター副部長 | 尿中遊離糖鎖マーカー群の迅速かつ高精度な多項目同時測定法の確立 |
中川 誠司 | 千葉大学 教授 | ”からだで聞く”超音波を使った新型オーディオ・インターフェースの開発 |
西山 功一 | 宮崎大学 教授 | 生体力学機構に基づく画期的な血管新生制御法の開発 |
市村 垂生 | 大阪大学 特任准教授 | 超次元イメージング技術開発とデータ駆動多細胞システム研究の実践 |
堀 雄一郎 | 九州大学 教授 | 小胞体ストレスを可視化する化学・生命科学ハイブリッドプローブの開発 |
小澤 岳昌 | 東京大学 教授 | 生物組織を対象とするライトシート燐光分子イメージング法の開発 |
竹内 裕子 | 大阪大学 准教授 | パッチクランプ法を基盤とする嗅神経細胞膜イオンチャネル光活性計測システムの開発 |
前多 裕介 | 九州大学 准教授 | 液晶の物理学に基づく多細胞構造の力学的理解と機能破綻検出への展開 |
河﨑 史子 | 東京大学 助教 | RNA結合性分子の動態と標的配列情報をつなぐ、1細胞識別子の開発 |
Citterio Daniel | 慶應義塾大学 教授 | CRISPR/Casを利用した超高感度な核酸検出を可能にする分析デバイスの開発 |
栁澤 啓史 | 静岡大学 特任准教授 | 一生体分子の非破壊観察による原子構造決定法の開発 |
木村 幸太郎 | 名古屋市立大学 教授 | 超高速三次元イメージングによる脳機能基本原理の解明 |
丹野 秀崇 | 東京都医学総合研究所プロジェクトリーダー | 生きた細胞内を「視る」分子プローブの開発 |
(4)奨励研究助成
氏 名 | 所 属 機 関 職 | 研 究 題 目 |
河野 直樹 | 秋田大学 准教授 | 癌治療への応用に向けたハライド透明セラミックスの開発 |
小椋 章弘 | 慶應義塾大学 専任講師 | 水のみを副生成物とするインドール合成による低副作用生体内合成化学治療 |
河窪 正照 | 九州大学 助教 | 心筋血流シンチグラフィの深層学習による右室心筋運動予備能推定法の開発 |
今城 哉裕 | 東京大学 特任研究員 | 超音波の医療応用に資する細胞の周波数特性の計測 |
加藤 康作 | 大阪大学 特任研究員 | 生体物質のテラヘルツ帯イメージングの高度化のための分光技術開発 |
村井 勇太 | 北海道大学 准教授 | 医療応用が可能な生体深部の鮮明な可視化を志向した短波赤外蛍光色素の開発 |
関 貴一 | 弘前大学 助教(PI) | 高感度イオンセンサー実現を目指した、イオン認識バイオプローブ設計法の確立 |
大黒 達也 | 東京大学 特任講師 | ”こころ”の健康をサポートする内受容感覚フィードバックシステムの開発 |
阪東 勇輝 | 浜松医科大学 助教 | ホログラム技術を用いた神経細胞内局所的エネルギー代謝操作法の開発 |
坪山 幸太郎 | 東京大学 講師 (PI) | タンパク質相互作用の大規模解析と超高精度予測モデルの構築 |
邑井 洸太 | 国立循環器病研究センター 医師 | 近赤外線スペクトロスコピーを用いた冠動脈石灰化結節の観測と心事故予測能の検証 |
織田 耕彦 | 東京工業大学 助教 | 波動応答リポソームの創造と薬物送達システムへの展開 |
秋葉 宏樹 | 京都大学 助教 | 抗原テンプレート反応の最適化による超高感度免疫測定法の開発 |
猪股 直生 | 東北大学 准教授 | テラヘルツメタマテリアルを用いた高感度生体ガス分析技術の開発 |
妹尾 暁暢 | 九州大学 助教 | 低分子リガンドを活用したシナプス結合因子の分子動態プローブの開発 |
井ノ上 泰輝 | 大阪大学 助教 | ヘテロナノ材料の構造制御によるFET型高感度バイオセンサの開発 |
遠藤 瑞己 | 東京大学 助教 | 熱応答性デザイナー細胞による生体深部生命現象の超音波制御 |
松本 倫実 | 京都大学 特定研究員 | 肝代謝と薬物性肝障害の生体外再現のための3次元血管網を有する肝臓MPSの開発 |
野本 貴大 | 東京大学 准教授 | 精密に時空間制御した光線力学療法を実現する高分子型光増感剤の開発 |
横山 文秋 | 東京大学 特別研究員 | 模倣血管上の動的環境における細菌一細胞観察による細菌の宿主内生存戦略の解明 |
牧 功一郎 | 京都大学 助教 | 細胞核内のメカノセンス・モジュールの同定と力学特性評価 |
小嶋 良輔 | 東京大学 准教授 | 機能性小分子による抗原認識タンパク質の機能拡張とその応用 |
横山 光 | 東京農工大学 准教授 | 革新的微小針電極による簡便・高品質な脳波計測と脊髄損傷者の運動支援BMIへの応用 |
大谷 智仁 | 大阪大学 准教授 | 循環器血流場に対するMRI計測のデジタルツインの開発 |
高松 利寛 | 国立がん研究センター特任研究員 | 注射プラズマプローブを用いた組織深部の薬剤成分をin situ計測する技術の開発 |
大石 雄基 | 富山大学 助教 | 糖類の高感度検出を可能にするDNAポケットの開発 |
金 穂香 | 東京大学 日本学術振興会特別研究員PD | 非侵襲的に脳深部の神経活動を操作する新規の磁気遺伝学ツールの開発 |
横山 奨 | 大阪工業大学 講師 | 筋オルガノイドの運動モード解析によるリアルタイム薬効評価技術の開発 |
杉山 夏緒里 | 早稲田大学 次席研究員研究院講師 | 軟骨変性における微小環境に着目したラベルフリーバイオマーカーの探索 |
望月 健太郎 | 京都府立医科大学助教 | パターン照明と光分解技術を利用した不整脈発生機構の解明とその数理モデル化 |
太田 真理 | 九州大学 准教授 | 経頭蓋時間干渉刺激と脳機能イメージングによる脳の非侵襲的可塑性誘導技術の確立 |
(5)調査研究助成
氏 名 | 所 属 機 関 職 | 研 究 題 目 |
永井 利幸 | 北海道大学 准教授 | 4D flow MRIを用いたTAVR前後における血流動態評価の有用性解明研究 |
奧山 純子 | 東北大学 助教 | スマートフォンアプリを用いた女性アスリートの月経随伴症状負担感と心理状態の検討 |
片岡 幸三 | 兵庫医科大学 講師 | 組織と血漿間での遺伝子の発現不均一性が大腸癌薬物療法に及ぼす影響 |
小木曾 聡 | 京都大学 助教 | 肝臓外科画像支援技術の国内外における利用状況と技術的課題に関する調査研究 |