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2025年10月26日科学教育セミナー『なぜRikejoが増えないのか?』を開催
2025年10月21日(火)に、東京ミッドタウン八重洲カンファレンスにて「科学教育セミナー」を開催しました。このセミナーは、会場にはメディアの皆様が、またオンラインでは全国の教育現場の先生方や教育関係者が参加しました。
男⼥雇⽤機会均等法が施⾏されて 40 年がたった今、⽇本においての理系⼥⼦の割合はまだ少なく、特に研究者に⾄っては、OECD加盟33か国中で最下位となっています。
セミナーでは、それぞれの⽴場で「Rikejo」を増やすことに取り組んでいる先⽣⽅に集まっていただき、教育の⽴場からの取り組みやジェンダーレスの社会と「未来像」について活発な議論をいただきました。
このテーマを選んだのは、中谷財団が「科学教育振興助成」や大学生・大学院生・研究者を対象とした各種助成事業・表彰事業に長年取り組むなかで「学年が上がるにつれて自然科学系分野の道を選ぶ女性が激減していく」という現状を目の当たりにしてきたことがきっかけとなりました。
奇しくも、セミナー開催当日には日本憲政史上初となる女性総理大臣が誕生。タイムリーなテーマになったこともあり、会場には、全国紙の記者をはじめとする、たくさんメディアの方々に取材に来ていただきました。

ご登壇の先生方は、コーディネーターに千葉大学次世代 in Vivo 研究探索センターの塩見春彦特任教授。パネリストには関西学院大学副学長で情報化推進機構 機構長の巳波弘佳教授、大阪公立大学大学院 理学研究科物理学専攻の細越裕子教授、東京大学生産技術研究所 次世代育成オフィスの川越至桜准教授がご登壇されました。

「本人だけではなく、保護者や教師にもバイアスやアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)がある」(細越教授)ことや、「女性同士でも『そんな学部に進むの?』といった同調圧力がある」(巳波教授)ことなど、理系に進む女性が少ない現状の原因分析のほか、「スーパーウーマンばかり紹介することもよくない。もっと一般的な理系女性のキャリア形成を紹介すべき」(川越准教授)、「ジェンダーに限らず、何らかの属性に基づく先入観を排して個人差を認めるべき」(塩見特任教授)などの解決策を示唆していただきました。
また、共通意見として、欧米も苦労して女性理系人材の比率を高めてきたことや、日本も20~30年前と比べればかなり社会の意識が変わってきていること、これまでの取り組みの手を緩めず継続していくことが大切であること、といった提言をしていただきました。
質疑応答では、会場からの質問のほか、オンラインで視聴された現場の先生方からも多くの質問が寄せられ、最後まで熱のこもったセミナーとなりました。
中谷財団では、今後も皆様の関心の高いテーマを取り上げ、定期的に「科学教育に関するセミナー」を開催してまいります。
今回のセミナーの様子は、11月上旬よりご視聴いただくことができます。準備が整いますまで、しばらくお待ちください。